第六回観音文化シンポジウム 台湾と日本の専門家が一堂に 宗教を越え、霊性・自然・信仰について交流する
2024-11-20
日本で観音様との出逢いを果たすーー第6回観音文化国際シンポジウムは9月30日に名古屋国際センターのホールで開催されました。台湾と日本の宗教の専門家が一堂に会し、それぞれの視点から霊性と信仰の時代的な意味について、深い洞察を披露しました。集まった参加者は、霊鷲山の開山住職である心道法師の導きを仰ぎながら、宗教の力を通じてエコと霊性の初心に立ち返り、生態系の永続的な守護者としての役割を果たすことを期待されました。
霊鷲山グローバル百八観音文化総会、日本社団法人霊鷲山思想研究会、日本脩志学院共催で行われた第六回観音文化国際シンポジウムが「光を聞き、現世を照らす—霊性、自然、信仰」をテーマに、宗派を超えた対話と交流の場となり、地球のあらゆるものの声に耳を傾け、現代人が霊性と安らぎを取り戻すための道を探究し、地球の生態的危機に向き合うことを再確認しました。
心道法師がオープンニングスピーチを 善縁の具足に感謝
「慈悲喜捨,善念共振」。心道法師はオープンニング映像において、観音文化を広め、観音様の慈悲の精神を受け継ぐ全ての人々への深い感謝を表されました。特に日本における「霊鷲山文化思想研究会」や「天眼草堂」という拠点の成立を支えてきた善縁にたいしても心からの感謝を述べられました。心道法師は、こうした拠点を基盤として、さらなる協力が進み霊性と生態の調和を共に推し進めていけることを強く期待していると語りました。
心道法師は、人間の貪り、瞋り、こだわり、高慢、疑心という「五毒」が、本来の生態秩序を乱し、風災や火災、洪水、旱魃などといった自然災害を招き、地球環境を危険的状況に陥れていると警鐘を鳴らされました。そのため、霊鷲山は「地球を愛し、平和を愛する」に基づく「生命平和大学」の創設を計画しています。この大学では更に地球を癒し、自然の生態系を健康な姿に戻すための深い研究を進める予定です。更に、教育を通じて、人々の霊性を目覚めさせ、人間とあらゆる生き物が共生する存在であるという理解を広めることを目指しています。
日本脩志学院の山本ヤス子校長は、シンポジウムの開会式において、観音文化国際シンポジウムが継続して開催されることの意義を強調され、現代の人々が霊性と信仰の力を通じて、地球の未来に貢献していくことを心より期待していますと述べられました。グローバル百八観音文化総会の陳国寧会長もオンラインで参加して、今年のシンポジウムの成功を祝福しました。
五人の 専門家による発表 多彩な内容
今回のシンポジウムでは霊鷲山都監院院長の釋常存法師、日本国立民俗学博物館名誉教授立川武藏先生、世界宗教博物館馬幼娟館長、真正神道會中臣天慶宮司、そして東海学園大学小野佳代教授という五名の専門家が順に以下のテーマで発表されました。
「キーノートスピーチ:観音はどこにいるのでしょうか」、「世界と仏」、「世界宗教博物館〈第18回、イスラム教と仏教の対談:生態永続には、解決法があるのか〉からイスラム教の霊性の観点で垣間見る」、「人間の世界の終わる時」、「日本における観音信仰と霊験〜奈良・長古寺の十一面観音立像を中心に」、それぞれ四十分にわたるスピーチは内容が豊かでとても多彩です。
釋常存法師は、心道法師が「観音菩薩のお使い」として自らを位置付け、41年前に台湾・福隆で霊鷲山を創立し、霊性生態の道場としての歩みを進め、多くの縁者を観音の慈悲精神に導いてきたことを語られました。心道法師の尽力によって、無数の「人間観音」が育まれ、世界各地の拠点で霊性の覚醒、生態保護に努めるという広がりが生まれています。
立川武蔵教授は「観音」と「観自在」の名称の由来と意味を解き明しながら、世界と仏の関係を再考し、現代社会で仏教思想の理論構築を示されました。また心道法師が提唱する「霊性エコロジー」の視点に深く賛同し、これが現代仏教の存続と発展を支える最前線であると高く評価しました。
馬幼娟館長は、最近2年間に開催された特別展「生死・昼夜」や「山海、天人」のキュレーションコンセプトから語り、今年7月に行われた第18回のイスラム教・仏教との対話にも触れ、ムスリムとして、イスラム信仰がエコロジーをどのように捉え、共感と慈悲の心を通じてようやく霊性に立ち返ることができると述べられました。中臣天慶氏は自ら名前の由来と意味、そして真正神道会の成立経緯を振り返りながら、日本における神道信仰の真意について語られました。小野佳代教授は厳密な仏教美術史の理論に基づき、日本各地に奈良・長谷寺の十一面観音像が模倣され広まった現象を解説され、そこから日本における観音信仰の霊験について深く考察しました。
総合討論では日本同朋大学仏教文化研究所研究員・グローバル百八観音文化総会理事の周夏教授が司会を務め、五人の発表者に加え、日本徳林寺住職・高岡秀暢法師も参加されました。討論は来場者との交流を通じて、自然と霊性に関する問いかけが深まり、さまざまな宗教が霊性や信仰をどのように理解しているかについて、もっと深い感銘を受けました。
『観音文化誌』2025年に出版予定
霊鷲山は観音法門を修行の伝承として守り続ける北台湾の著名な観音道場であり、観音菩薩の大慈大悲の教えを広め、人々を苦難から救済することに尽力しています。より多くの人に観音様の慈悲の精神を理解してもらうため、2018年にはグローバル百八観音文化総会を設立し、シンポジウムの開催を通じて観音信仰の普及に努めています。また観音の法脈と文化を広めるべく、来年には『観音文化誌』の出版が予定されています。この書籍は、台湾を起点として、各地の観音文化に関する資料やフィールドワークの成果をまとめ、台湾における観音信仰の経典となることが期待されています。
「願望があれば力が生まれる!」閉会式では霊鷲山グローバル観音文化総会の指導法師・広純法師がスピーチを行い、毎回のシンポジウムが先人の知恵を受け継ぎ、宗教の光で現実を照らし出していることを強調されました。広純法師は、自らの内なる観音を召喚し、本心と霊性の気づきに戻ることの大切さに触れられ、観音菩薩の大なる慈悲の精神が代々伝承されていくことを期待すると述べられました。そして今回のシンポジウムの幕が閉じられ、来年開催される第七回観音文化国際シンポジウムでの再会が約束されました。